ミシンで作る南三陸の未来

20143

ミシンで作る南三陸の未来

Hang in there!の元気な文字に色とりどりの布。南三陸ミシン工房のバッグは、ヤフー復興デパートメントの人気商品です。そんなバッグはすべて、南三陸の女性たちの手作り。辛い震災を経験し、今なお悩みを抱える女性たちの、復興への思いがこもったバッグです。

南三陸ミシン工房

ミシンを通じて南三陸の女性に元気を
「かわいい柄だと作っていて楽しいよね」「縫い方を覚えて商品にするまでが大変よ」。わいわいおしゃべりしながら、縫い手たちは作業を進めます。「南三陸ミシン工房」は、カーテンや布の販売を手掛けるメーカーが中心となって行った「ミシンでお仕事プロジェクト」をきっかけにスタートした取り組み。ミシンと裁縫の技術支援を通して、女性たちの雇用を生み出すと同時に、やりがいを見出してもらうためのプロジェクトです。
ミシン工房の代表作は「おらほも あんだも がんばっぺしバッグ」。Hang in there!の文字がデザインされたカラフルなバッグです。デザインは、「ミシンでお仕事プロジェクト」に共感した東京の若手デザイナー。生地は、カーテンメーカーが提供してくれた丈夫な余り布。かわいらしさと縫製の良さが評判を呼び、多い日では1日数百個が売れる日もあります。

南三陸ミシン工房

「ミシンプロジェクトの場に南三陸を選んだのはまったくの偶然だったのですが、南三陸には昔、和裁・洋裁の専門学校があり、そこで学んだ主婦がたくさんいたんです。裁縫の基礎を身に付けた女性たちがたくさんいたからこそ、実を結んだプロジェクトなんですよ」。そう話すのは南三陸ミシン工房代表理事の熊谷安利さん。東京の自宅と南三陸を往復しながら3年間ミシン工房の活動に携わり続けています。

南三陸ミシン工房

多くの支援で工房が完成。縫い手が集まる場に
南三陸ミシン工房のグッズには、縫い手の名前が記されたタグと笑顔の写真、買い手がメッセージを書ける返信用のはがきが入っています。「○○さんのバッグ、使っています、応援していますなんてお便りをもらうと、やっぱりうれしいですね」と縫い手さんたちは笑顔。

南三陸ミシン工房

2013年の12月には、服飾メーカーからの支援によって、念願の工房も完成しました。「この工房が出来上がるまでは皆、狭い仮住まいでミシンを使っていました。音がうるさいから家で作業しないでくれと家族に反対される人もいました。作業場があると、みんなが気軽に集まれていいですね。生産管理も楽になりました」と熊谷さん。2014年は工房で、子どもたちを対象にしたミシンのワークショップなども開いてみたいと話します。「バッグを買った人が工房を訪れて、南三陸の住民である縫い手さんたちと交流できる場になったらいいなと思っているです」。

南三陸ミシン工房

3年目の今だからこそ、南三陸の現状を伝えたい
震災から3年。遅々として進まない復興に業を煮やし、町の外に引っ越す人や就職する人も増えてきました。南三陸ミシン工房に携わる縫い手は少しずつ減少してきています。「それぞれの道を歩み始めたということだし、それはそれでいいことかもしれません。けれども、今後どういうふうに事業を進めていくのか、考える時期にきているのかもしれないですね」。南三陸ミシン工房の作る質のいい小物は、服飾メーカーの注目も集め始めています。学生服メーカーやワイシャツメーカーから、余り布を使ったコラボレーションの企画も舞い込むようになりました。

南三陸ミシン工房

「先日皆で集まって、3年後ミシン工房をどうしたいか話し合ったんです。そしたら、皆口々に『南三陸と言えばミシンって言われるようになりたい』って。この地に縁が合ってやってきたこと。あきらめずに、皆で勉強しながらさらにいいものを発信したいですね」。若手のデザイナーとコラボした、新しい商品デザインも完成しました。これから縫い方を練習し、商品化を目指していきます。「南三陸の風景は震災後何も変わっていないのに、世間の関心はどんどん薄くなっていきます。私たちは商品を通して、南三陸の現状を伝えていかないといけない。パンフレットは笑顔だけど、みんなそれぞれ悩みを抱えながら踏ん張っているんです。3年たった今だからこそ、南三陸のことをもっと知ってもらいたいと思います」と熊谷さん。縫い手たちが本当の笑顔を取り戻す足がかりを、今日もミシンは作り続けます。