バラを、もっと気軽に、もっと笑顔を

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バラを、もっと気軽に、もっと笑顔を

赤、ピンク、黄色。
ビニールハウスでは、30種類ものバラが育っていました。福島県須賀川市の「にこにこバラ園」の伊丹雅昭さんは、その名の通り素敵な笑顔で出迎えました。私たちも思わず「素敵なバラですね」と笑みがこぼれます。長く咲き、しかもお手軽な値段という、伊丹さんのバラの魅力を伺いました。

にこにこバラ園

手軽な値段で、長く咲きほこる秘密は
「バラは、長く楽しめるんです。ある程度(つぼみが)開いたバラを出荷します」
 バラはきれいで華がありますが、すぐ枯れてしまった経験はありませんか?伊丹さんのバラの特徴は「長く持ち、安い」ことです。ハウスで客に届けるギリギリまで育てることで、茎がしっかり太くなり、長く咲き続けるといいます。それが実現できるのは、通常はまだ蕾が小さな段階で生花市場に出荷することが多い中で、ネット販売で直接お客さまに咲きかけの花を「新鮮なまま」届けるからです。

にこにこバラ園

 ほかにも秘訣が。出荷できないバラは普通は捨てられますが、温泉にまとめて運ばれ「バラ風呂」に「変身」します。温泉側から要望が絶えない「人気商品」とのことです。
 最近、須賀川市内に直売所がオープンしました。「男性も訪れやすい店」とのことです。500円の手軽なアレンジメントが目につきました。母の日や記念日には、2000~3000円の手ごろな料金でも「『わっ』と喜んでもらう花をお届けします」といいます。

にこにこバラ園

花を使わなくなった日本
「日本人は、花を使わなくなりましたねえ」 伊丹さんは強く感じています。以前はどの家にも花びんがあり、床の間や玄関で花が身近だった日本。いまは結婚式など祝い事でも造花を使うことが増え、「若者の花離れが特に深刻」と危機感を募らせます。
 以前北欧に半年間勤務していました。当時「欧州では花は安く、普段から花と気軽に接している」と実感しました。ここからも「みんなに安く花を届けたい」とのこだわりが生まれました。
 98年にバラ栽培を始めて、17年になります。以前は外資系の会社で研究職でした。研究者のマインドを生かして、品質向上への努力に余念がありません。ハチミツを使うことで病気が防げることを見つけ、15年以上経った古い株でも1年に何度も花が咲きます。

にこにこバラ園

避難者に潤いを与える
 原発事故のときは、須賀川市内の小学校など約20の避難所に、バケツにあふれんばかりのバラを無償で届けました。「当時はみんな買う余裕がなかったからね」と謙そんしますが、「とても喜んでもらえました」。原発事故直後の連休には、「頑張って。応援する」とハウスにわざわざ訪れた客もいたとのことです。「花には力がある」と感じました。
 いつもニコニコの伊丹さんですが、事業環境は決して楽ではありません。大阪出身。バラの師匠を訪ねて、見ず知らずの福島に98年に移りました。現在輸入バラが約4割を占め、日本人の花離れも気がかりです。師匠も栽培を辞めたといいます。最近ではハウス火災という悲運にも直面しました。
 しかし、原発事故後も継続して買っていただける客に恵まれました。「生き物が相手ですし、うまくいかないことも多いです。悩みはありますが、笑顔が一番ですよ」と常に前向きです。

にこにこバラ園

バラに話しかけてごらん
「花は生き物です。水をあげて、話しかけてください」と伊丹さん。「話かけるということは、花を気にかけるということです。子育てと一緒ですよ」。うまく育てれば、冬なら1カ月、10~15度なら10日程度楽しめるとのこと。「夏は冷蔵庫に入れるといいですよ」とアドバイスも。

にこにこバラ園

 普段の生活に、バラはどうですか。「日常の生活にも花を、そして笑顔を」。伊丹さんの願いです。